まずは、1月提出作品の講評から…
2016年1月提出作品 講評 渋谷敏広先生
香田美代子さん「ママの後から」 第1席
灰色の空。真っ直ぐ伸びる濡れた路面。圧縮された密度の濃い空気感。
人間と出くわした決まり悪さというか、コミカルさと緊張感が同居した写真で、見る人ごとに印象が異なる要素を持った写真です。
幼鳥も親に負けないくらい大きくなっています。
平本和男「砂浜にて」 第2席
低い位置からの日差しが、景観をドラマチックに演出しています。
石の丸みと風紋の揺らぎには、一種の艶めかしささえ感じます。
ゆっくり姿を変える砂の波。応募3作品共に、超現実主義絵画の雰囲気をたたえています。
高田 進「秋の光」 第3席
輝くハイライトから、黒く引き締まった暗部。再現できる階調域をダイナミックに使い切った露出と仕上げで、景観のスケール感が雄弁に表現されています。
暗い背景に映えるススキに、浮遊感と漂白の想いに誘われます。
小松康一「時間(とき)」 第4席
表情と立体感が増す、魅力的な光が当たる場面を選んで撮影してあります。
赤、緑、肌色の配色が良く、発色も美しい写真です。
このモデルさんは、このアングルから撮ったときの顔立ちがいいように思います。
松田 溶「カラー放水」 第5席
放水の様子を見下ろせるアングルもなかなか面白そうです。
ただし、複数の放水が重なり、色の違いが際だたなくなってしまったようです。
かなたに見える消防車とホースと人を俯瞰しているだけでも楽しい場面です。
後の作品については50音順です
打田啓子さん「大樹との出会い」
生命力あふれる大きな樹。樹を囲む人の大きさとの対比で存在感が強調されています。曇天の散光により、明暗差が穏やかで、樹皮も雪の質感も描写されています。
シャッターを押すタイミングは、左から2番目の人が上を見上げた時ではないかとおもいます。
梅沢武志さん「日だまり」
画面に占める蝶の大きさが絶妙。小型の蝶の場合、雇用にあまり大きくしないのが良いと思います。緑の背景を、無彩色のエリアが落ち着いた印象にしてくれました。
光の当たり方がいいので、蝶も花も引き立っています。
この撮り方はマスターされたようなので、次の表現にチャレンジしましょう。
大野浩一さん「祈る」
望遠レンズと煙の効果で、圧縮感と空気感が漂う写真です。
くすんだ色調の写真ですが、日差しと紅白の吊り縄、そして登場人物が若いこともあり、沈んだ印象にならずにすみました。
高野昌隆「線路内危険」
色の濃さとコントラストを適度に強調して、暗部の引き締まった仕上げが望まれます。
太陽を背に受けて伸びる男の影を活かした画面構成も求められます。
題名が、せっかくの場面をちっぽけなものにしています。
これらのことが改善されていれば、もっと印象深い作品になったことでしょう。
寺田信弘「鎧」
まさに捕手は要といった感じです。選手の動きや重なりも、よく観察してあります。
スポーツ撮影は、ハイライトシーンだけでなく、このような合間のシーンや観客側に目を向けるとで、より面白い撮影ジャンルになることでしょう。
林 茂樹「一人ぼっち」
モデルの側面を照らす光と、床にハイライトを映し出す背景の窓。(実際は暖房が効いているかもしれませんが)
ひんやりとした部屋の空気感が、光の効果と空間を活かした低めのアングルで表現されています。
松野忠男「おとぎの館」
残像表現の場合、鮮明部分が無いと、それは失敗とみなされます。
この写真は人物の表情がわかります。
景観はブレて流動感を出すことができましたが、それに合ったモデルの表情とポーズに工夫がほしいところです。
本谷公夫「冬の日に」
窓枠の配置バランスや、ガラスに映る樹のシルエットなど考えて撮影してあるとおもいます。
髪も周囲も黒いので、顔だけが浮かび上がって見えます。
とすれば、画面内の顔の大きさは、もう少し小さくした方がいいかもしれません。(モデルの左目に、少しだけでも白目が見えていてよかったです)
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続いて2月月例作品の選評です。
選評担当は打田啓子さんです。
◆打田啓子
タイトル:ユニークだね
投票得点:5
順位:
◆梅沢武志
タイトル:雪の日
投票得点:
順位:
◆大野浩一
タイトル:波
投票得点:2
順位:
◆小松康一
タイトル:夜店通り
投票得点:8
順位:4位
◆高田 進
タイトル:残光
投票得点:23
順位:1位
◆高野昌隆
タイトル:異国の屋根
投票得点:1
順位:位
◆寺田信弘
タイトル:ヘッドスライディング
投票得点:
順位:位
◆林 茂樹
タイトル:裸放水
投票得点:11
順位:3位
◆平本和男
タイトル:起舟祭
投票得点:3
順位:位
◆松田 溶
タイトル:三寺まいり
投票得点:
順位:
◆松野忠男
タイトル:のれん
投票得点:8
順位:4位
◆本谷公夫
タイトル:雪のシーズンを前に
投票得点:
順位:
◆寺出敏久
タイトル:冬に舞う
投票得点:16
順位:2位
◆田辺雄一
タイトル:トンネルののぞき合い
投票得点:
順位:位
◇3月の月例会:3月15日(火) 午後7時〜
金沢市民芸術村 管理棟 1F研修室
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